2018年10月30日 サイエンスらいおん研究会第6回&サイエンスらいおんカフェ第70回(今井修さん)
※事前の広報内容はこちらです。
今年度の研究会は、ワークショップ形式でサイエンスに親しむというテーマでお送りします。
つまり、頭や手や口などを使いながら、普段のサイエンスカフェよりもより踏み込んだ形で、サイエンスを楽しみながら学ぼうという主旨です。
ゲストの今井修さん。実は文責の私とは長いお付き合いがあり、かつて私も参画していた「とちぎGISの会」という任意団体の仕掛け人のお一人でした。
仕掛け人には当時の帝京大学の先生もいらっしゃったため、初会合は私がサイエンスらいおんに関わる前の帝京大学でした。
まさか数年後に大学やサイエンスコミュニケーションに関わるとは微塵も感じていない頃の出来事です。
人生何があるか分からないものです(笑)。
さて、「GIS」という言葉、ご存知の方は意外と少ないのではないでしょうか?
日本語では「地理情報システム」と呼ばれます。
Geographic Information System(s)の頭文字を取ってGIS。
地理情報や付加情報をコンピュータ上で作成・保存・利用・管理・表示・検索するシステムを総称しています。
地理情報というと身近に感じやすいのはズバリ「地図」。
コンピュータ上で使うので電子地図はGISの一つと言っても良いでしょう。
もちろん電子地図だけでは紙の地図を電子化しただけですが、そこに付加情報を加えることによって、様々なデータとなります。
カーナビでお馴染みのGPS、これもGISの一つです。
例えば、皆さんご存知の「Google Map」。
ボタン一つで、お店の情報や現地の画像、渋滞情報、ナビゲーションや鉄道・バスの情報など、様々な付加情報を切り替えたり、重ね合わせたりできますよね。
この切り替えたり、重ね合わせたりする機能をレイヤーと呼び、地図の上に透明な情報シートを出し入れする感覚で、様々な俯瞰や分析ができます。
最近では、これらのレイヤーを時系列で操ることも随分簡便になってきましたので、もともと「空間情報」と呼ばれていたものが、最近では「時空間情報」という4次元でデータを見るという考え方が主流になりつつあります。
さて、今井さんは、GISの様々な現場や大学でも研究されていましたが、特にGISをまちづくりに応用するコミュニティGISの分野で近年は活動されています。
GISは電子データを操りますが、その一部を逆にアナログに応用してみようという活動もされています。
つまり、人同士のコミュニケーションを円滑に進めるためのツールとしてのGIS利用というわけですね。
その中でもボードゲーム形式で楽しみながら学ぶという活動に主眼を置かれており、今回も開発中のボードゲームを体験してみようという企画になりました。
今回のボードゲームのテーマは「鳥獣対策」。ちょっと聞きなれない方もいらっしゃるかもしれませんね。
近年、ニュースなどで時々取り上げられますが、住宅地にイノシシやクマなどが出没するケース。
「え? こんなところに!?」というようなことも見受けられます。
特に中山間地域と呼ばれる地域やその周辺域などでそのようなニュースを聞くことが多く、山の近くまで開発が進んでいる地域や、逆に昔は栄えていた集落が居住人口や山林を守る人口の減少などに直面している地域などで、このようなケースが出る可能性が、全国的に高まっているそうです。
そこで今回は、栃木県内のとある地域の実際の地図を基に、その地域で鳥獣対策をされている方も参加してのボードゲーム体験を行いました。
ボードゲームのルールや内容についてはこちらのPDFが分かりやすいかも知れません。
今井さんご自身も今回の研究会について、こちらで簡単にレポートしていただいています。
実際のゲームボード。
宇都宮市立東図書館からの関連書籍の展示・貸出。
※今回はゲームに夢中で、写真があまりございませんm(_ _)m
後日、これをきっかけとして、宇都宮市内の小学校にて同様のワークショップが開催されました。
このような広がりは嬉しいものですね。
今回は鳥獣対策でしたが、他にも検討中のゲームがあるそうなので、またの機会にご紹介できればと思います。
ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。
[文責:藤平 昌寿(とちぎサイエンスらいおん客員研究員)]